MENU

自己嫌悪から始まる

最近思っていることなんだけど、比較的社会の事象に興味あるように見えている人も、結局自分のことにしか興味が無くて。

かくいう私だって自分がトランスジェンダーだってことに気がつくまで、ふーん大変だな~って他人事だった。ちょっと人としてクソだった。
結局自分のことにしか興味ないよ。人間ってそういうもんじゃん。そうならない方法ってあるんですか、教えてよ。とか開き直りたい気持ちもあるにはあるけれど。
自分にしか興味がもてない自分のことが嫌いだ。

目次

「被害者」じゃないからと言って無関係な訳じゃないのに

「当事者」じゃなくなった途端に何をすればいいのか分からずに行動を躊躇い始める自分がいる。

例えばだけど、難民のことについて取り扱ったドキュメンタリーとかを観て、なにか分かったような気になっている自分。
観て、知って、大変なんだね~。で思考停止したまま行動も停止している自分。最高に自己満足っぽくて嫌だ。

だからなんとかしたい。でも具体的に何をすれば良いのか分からない、考えるのがめんどくさいって言うのは本当にそうで。うん。だから、もう最悪。
信頼できそうな団体にお金を寄付するとか、ステッカーを貼って周囲に知らせるとか、そのことについて勉強して、思考を深めていくとか、そういう事しか出来ない。
人に喋るとか。

何もしないよりする偽善だよ。わかってるよ。
わかってる。わかってるけどさ。
自分が当事者の時、アグレッシブに連帯を示してくれる人の存在が本当に心強くて冗談じゃ無く救われる気持ちになる。だからこそ、なんでこんなに当然のように、自分も積極的にはなれないんだろう。
そう自分の行動を疑ってしまう。

日々の忙しさを言い訳にしたくない

自分が特権側にいる社会問題について、まずは分からない事を分かって欲しいよね。と思う。

自分がそのトピックについて分からなくてあまり興味が無いという事を自覚した上で、その事への罪悪感から行動を始めて欲しいよね。
ほんとに私も人のこと言えないけど。

それで、仕事が忙しいとか、それも本当にそうだと思うんだけど、そういうの言い訳にしたくなくて。

「フェミニズムに疲れた」と言って、フェミニストとして活動するのを辞めていく人達が知り合いで一定数いる。
「疲れる」ってなんだろうって思ってた。
でも、なんか、フェミニズムって自分の問題から関心を抱き始める人が多いように思う。性被害に遭った。性差別された。ガラスの天井にぶち当たった。とか。そういう、自分の傷付きを言語化したり、理解するためにフェミニズムに救いを求める。自分語りから始まる。自分を憐れむ所から始まる。

最初は本当にそれでいいと思う。
でも、そうやってずっと自分を憐れみ続けるんじゃなくて、ある側面では自分はマイノリティであっても、別のある側面では自分はマジョリティである、という事実をある程度傷から回復したら認識したり受け入れたりするべきなんじゃないかと思う。

めんどくささを引き受ける

自分の個人的な経験や傷付きに関する問題は、言語化されていない被差別の経験が言語化されていくから、全く知らない事象よりも受け入れやすくて、すんなり入りやすい。
それに対して、自分がマジョリティ側にある、これまで認知していなかった問題については、認知するのも知るのも調べるのも声を上げるのも何もかもが億劫で、「疲れた」ということになるのではないだろうか。
そういう背景があるという事はなんとなく想像できた。

シスかトランスか、ヘテロか同性愛者か、恋愛はするのかしないのか、耳は聴こえるのかそうじゃないのか、「日本人」なのかそうでないのか。
今列挙した一部だけでも、沢山の属性がある。多様性って本当にめんどくさい。皆それぞれに違う特徴が有って、それぞれの形に配慮しながら常に知識をアップデートして生きていかないといけない。

でも、それを「疲れた」って言ってやめてる人になったら、あんなに女性蔑視を憎んでいたあなたも別の属性の誰かを踏みつけてしまうことになるんだよ。それでいいの?

疲れているときあるの、わかる。いつだって迅速に学び続けられるわけじゃない。人間だからダメな時もあるの、わかる。
でも、それなら、せめて、それが自分にとって優先度が低いからと言って決して蔑ろにしてはいけない問題であるという事を把握して欲しい。

差別は人の命に関わるから。

「面倒くさい」って撥ねのけないで。「現在元気がなくて出来ない」という罪悪感を背負いながら、元気になったらちゃんと学び直すと自分に約束して。
私だって今学生で社会人よりも多分暇だろうからこんなこと言えてるだけで、労働者になったらどれだけこういう事考えられる余裕があるか、不安だけど。だからこれは将来の自分に向けても書いてる。

罪悪感を背負って、学び続けて。
自分を完全に嫌いになりきらないために、できる努力はしてくれよ。

よかったらシェアしてね!

このエッセイを書いた人

they/them ノンバイナリー。はっぴーくぃあぎゃる。

エッセイはライター自身の見解や分析であり、サイト参加者全体を代表していません。

エッセイや画像の著作権は当サイトに帰属するか、著作権者より許諾を得て使用しています。許諾なく転載等の二次利用はご遠慮ください。

目次