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私の性的指向の説明の難しさについて

私の性自認はノンバイナリー。で、性的指向の話だけど、私ってバイセクシャルなのかな?

そうたまに自問してみる事があるけれど、結局なんかしっくり来ないような気がして、違うなと言う結論にたどり着く。
私って一体なんなんだろう、とずっと思い続けている。別に今すぐに答えを出してすっきりしたいという訳ではないけれど、今回はそんな私の性的指向についての話をしてみようと思う。

目次

ボーイ・ミーツ・ガールでする異性愛、以外の選択肢

LGBTという言葉を知る前は、女性が女性を好きになるという現象についても知らず、自分には女性として男性と一緒に恋愛するという選択肢しか無いと思っていた。
「皆そうしていてそういうものだから」と受け入れようとしてきたが、私には異性愛のよさは主に将来お金に困る可能性が低くなるという経済的なうまみでしか感じられなかった。

高校生になってようやく、LGBTという単語が自分や周囲の人々に浸透して認知されてきた。それから、学校の付属図書館で偶然ゲイカップルの半生を取材して本に纏めたものを手にした。同性で恋愛をしても良いのだとそこで初めて気がついた。
目の前がぱっと明るくなったような気持ちだった。
セクシャルマイノリティを示す、L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)の4つの属性の中ならば、一応自分はバイセクシャルなのだろうなとなんとなく思った。

男性に惹かれることも一般教養として義務感で押さえてきたけれど、異性に恋愛感情を抱くこと以外に選択肢があるのならば、私は断然そっちに行きたい人間だった。
かといって「完全にレズビアン!」と自分で思える感じでもなかったのでとりあえずバイセクシャルです、と言ってみる。

けれど、そこまで男性に心惹かれない(恋愛的な興味が無い)ことを考えると、あまりしっくり来ないような気もしていた。

男性の性的恋愛的魅力がいまいちピンとこない

そもそもあまり男性としての魅力がよく分かっていなくて。
筋肉の良さも高身長の良さも喉仏の良さもピンと来なかった。恋バナで「どんな人が良い?」とか言われても困る。低身長で声が高くて威圧感を与えないフェミニストで中性的な人がいい。男性じゃなくて良い、むしろ女性の方が条件に合いやすいけれど、女性だってほぼほぼヘテロだろうし自分は対象外だろうし……じゃあやっぱり男性の方が勝率高いのかなとか思い悩む日々だった。

私が男性に恋愛感情を抱くとき、相手は紛れもないシス男性だとしても、その男性的な部分には1ミリも魅力を感じられない。ただただ、上記に書き連ねたような社会的には女性的なものとされるような特徴を身に付けていることに心惹かれる気がしている。つまり男性じゃなくて良いのだ。

でも恋愛感情を抱くことがあるのは嘘ではないので、「どういうことだ?」と内心困惑している。未だ解明されていない人間の神秘(?)なんだなということでもう諦めてるけど。

バイセクシャル?パンセクシャル?それともその他?

ドラマ『セックスエデュケーション』に登場するバイセクシャルのキャラクターは、女性的な女性と男性的な男性との両方を見比べながら激しく自慰をしていた。それをバイセクシャルとするならば、私は当てはまらないなと思う。
男性らしい男性には一切惹かれないし、そもそも男性性を忌避して(マッチョで図体の大きい乱暴な男性はひたすら怖いだけだ。安全な場所から眺めていたい。)恐れる私は果たしてバイセクシャルなのだろうか?

また、バイセクシャルは女性と男性ではなくても何か2つの性のあり方に惹かれる人間のことを指すこともあるという話も聞いた。それを知った時「もしかしたら自分はそれに当てはまるかも知れない?」と一瞬思ったが、でも後から当てはまらないかも知れないと思ってきたので保留にしている。

でも、かといってパンセクシャルという言葉もあまり自分のものではないような気がしている。男性、女性、その他、という枠組みには当てはまらないけれど、それでも自分に基準が無いわけではない。全ての性のあり方の人間が対象だと自信を持って言える訳では別にないと思っている。

自分に当てはまる言葉がよく分からない。そもそも存在するのかもよく分からない。無いなら無いでこうやって言葉を尽くして説明してみるだけだけれど。
自分に貼るラベルがどれが正しいのかちょっとよく分かっていないので、とりあえず今は「クィア」と名乗るようにしている。

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このエッセイを書いた人

they/them ノンバイナリー。はっぴーくぃあぎゃる。

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