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進んで装飾を楽しむ、そんな女だったらさ……

2年くらい前に作ってネットサイトで販売していたハンドメイドアクセサリーが売れた。ほんと、何故売れたのか謎なくらい放置していたけど、売れるのは嬉しかった。

久しぶりにショップページを見たら、当時周りに言われていたがやっぱり値段設定が超強気だった。

まじか。

そんなに値段を上げてもクオリティ担保できないんだけど?と過去の自分に言いつつ、受注製作なので、オーダーが入ったものを新しく作った。

アクセサリーなんて殆ど付けない。そんな私がハンドメイドを始めたのって、お洒落な女に憧れたからだよね。

なんだかんだ言って、進んで装飾を楽しむ、そんな女になりたかった。

だって圧倒的に社会に応援されるじゃん?

社会では装飾を楽しむ女ばかりが称揚されて、「だから私はメイクする」だとか「顔に泥を塗る」だとか、装飾を通して自分らしさを手に入れる、そんな作品ばかりが溢れている。

以前、サークルアイスのメンバーで対談した「自分らしさって一体なに?」でも指摘されていたけれど、まるで装飾しない自分らしさなんて存在しないかのように語られがちだ。

装飾するという行為じたいが女性らしさに傾くと思っている。
逆に装飾しないと「男になりたいの?」とか言われかねない。なんたる不均衡。

男になりたい訳ではない。

でも、装飾が好きじゃなかった。脱毛はしたくないし、「将来のご主人」に尽くしたくなんて、ない。

全ての「女性らしさ」というものが、性規範がしんどくって適合できない私は、そんな自分がコンプレックスだったのかもしれない。

2年前の私は、エッセイ投稿サイト「かがみよかがみ」で「私にとってはメイクしないのが当たり前」だとか「脱毛なんかしない」とか「結婚も妊娠も興味がない!」とか主張していた。そうして女性として生きると当たり前に要求されるそれらにNOを突きつけながら、それでもひっそりと削られていたのかも知れない。

「私にコンプレックスを感じさせる生きづらい社会が悪い」と声を上げながらも、それでもしんどくて、本当は女らしさに迎合して楽になれたなら、それに超したことはなかったのかも知れない。

そう思うと、悲しい。

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このエッセイを書いた人

they/them ノンバイナリー。はっぴーくぃあぎゃる。

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