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ほしいろといき
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ビスケットしか入らないポケットは要らない

冠婚葬祭の世界では女が感じるモヤッとが多い。
というのを私は先月7月の祖母の告別式後、斎場でお弁当を食べるにあたり手水へ立った時に思った。
とんでもないタイミングである。
何があったか。

女のブラックフォーマルにはポケットがないのである。
ハンカチをバッグに入れたまま部屋に忘れて立ったのだ。

しかしそのバッグも数珠とスマホとハンカチを入れたら終わりのサイズである。(そこへ鞄を持たない兄弟の数珠も詰め込んでいた。)
既視感がある。あれだ。
結婚式のクラッチバッグだ。
あのスマホと口紅とハンカチしか入らないくせに3000円はするあのバッグだ。
そして結婚式に参列する際に着るドレスにも当然のようにポケットはない。

ポケットが欲しい!!!!!
私がポケモンGOとピクミンブルームをしている為、スマホで歩数をカウントして欲しいが故に渇望しているわけではない。(しかしそれもちょっとはある)

お葬式でも結婚式でも、男性へは鞄の指定は無い。
そりゃあ男性の礼服はポケット豊富ですし。
何故に女性だけお葬式と結婚式では鞄(とても小さい)を使い分けて、それに荷物が全て入らなければサブバッグ(お葬式と結婚式では色の使い分けもある)を持てとマナー本にあるのか。

ウエディングプランナー時代にはスーツでハレの日に走り回っていたが、あっちこっちに連絡を取るスマホをどう持っておくかで非常に骨が折れた。
ジャケットのポケットはスマホを入れるには少し小さい。女性スーツのパンツのお尻側にあるポケットなんて「お尻を小さく見せるための装飾」なので飾りだったりもしたし、ポケットと名乗っても良さそうな作りであっても到底スマホは入らない。落とす。割る。泣く。
裏方のプランナーでさえこれである。

何故私たちには十分な大きさのポケットを持たせてくれないのか。何も四次元ポケットが欲しいとか言ってるわけじゃないのに。

ネットではこんな「ポケットを広げて!豊富にして!」との声を受けて「絶対に女の意見を取り入れるな!つけ上がらせるだけだ!」みたいな叩きもある。君は何と戦っとるんだ。
「ワークマンで作業着買えよ。それはダサくて嫌とか言うんだろ」との声もある。「女は美しくあれ!女を捨てて機能性を取るのか!」っていう叩きがあるからこちらもある程度見た目を気にしなくてはならない面もあるわけで……。
これは極端な意見でフェミニズム的にも色んな要素が絡み合った例ではあるが、現にスマホが入るサイズのポケットがついたドレスもブラックフォーマルもないのである。

たかがポケット。されどポケット。
私の告別式が執り行われる頃には、スマホとハンカチと数珠は入れられるポケットがついたブラックフォーマルがしまむらで並んでますように。

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このエッセイを書いた人

エッセイスト/ジェンダー、雇用問題、メンタルヘルス。身体が弱すぎて人間に向いていない。

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