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選択肢がない

履歴書やエントリーシートが苦手だ。
性別記入欄があって、そこで性別を偽らなければいけないことが多いから。

男か女かの二択しか用意されていない。
ごく稀に、配慮のされた所だと「その他」だったり性別を言わなくていいところがある。
ゼロか1かで言えば1。

でも、かき消されてしまうことが多い。

2021年4月16日、厚生労働省が新たな履歴書の様式例として、性別欄を任意記載項目とした履歴書を公表した。
それに先駆けて、2020年12月23日にはコクヨが、性別記入欄のない履歴書を作った。
でも、どこにでも置いてあるわけではない。
もっと言うと、現在市販されている性別記入欄なしの履歴書はそのタイプ1つしかない。
街の雑貨屋さんやスーパーの文具コーナーに見に行くと、履歴書自体はコーナーが設けられていて色々なサイズや用途が設けられている。けれど、その中で性別記入欄が無いものはA4サイズの一つしかなかった。

選択肢が、ない。

性別記入欄の有無を気にせずに済む人であれば、それでなくても好きなサイズや安さなどを考えながら自由に選べたのに。
履歴書自体は100均で買うこともできるのに、100均には性別記入欄のある履歴書しか置いていないのだ。ちなみにコンビニにもない。

工夫すれば、乗り切ることができると思う。

例えば、血眼になって時間とお金をかけて、性別記入欄のない履歴書が置いてあるお店を探す。
例えば、自分で履歴書のレイアウトを作って自分で印刷する。
性別記入欄の無い履歴書を置かない店舗に置くように求めて、運良くそれが受け入れられれば。

工夫すれば。

でも、その、必死の努力が、性別記入欄が苦痛でない人にとっては一切必要ない事が悔しい。
社会が一部の人の事しか考えずに回っている、そのツケを支払わされている。

こうして、摩耗させられていく。

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このエッセイを書いた人

they/them ノンバイナリー。はっぴーくぃあぎゃる。

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